あらすじ
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するためにーー。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
印象に残った言葉
融は、なんだか不思議な心地になった。当たり前のようにやっていたことが、ある日を境に当たり前でなくなる。こんなふうにして二度としない行為や、二度と足を踏み入れない場所が、いつのまにか自分の後ろに積み重なっていくのだ。
好きという感情には、答がない。何が解決策なのか、誰も教えてくれないし、自分でもなかなか見つけられない。自分の中で後生大事に抱えてうろうろするしかないのだ。
みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。
何かの終わりは、いつだって何かの始まりなのだ。
感想
歩行祭という、”夜通し歩き続ける行事”を舞台にした青春小説。
ただ歩くだけであるのに、登場人物の思惑やアクシデントが混ざり合い、
単調さとは無縁の展開に驚きました。
子どもから大人になるとは?
成人式のようなイベントはあれど、明確な大人と子どものラインはわかりません。
私も学生の頃、歩行祭のようなイベントがありましたが、
取り留めのない話に花が咲き、とても楽しかった記憶があります。
あれを社会人になった今、同じように行ったとしても、
きっと同じような感情を抱くことはないでしょう。
若いが故に、わからないことがたくさんある。
だからこそ抱ける特別な感情や思考がたくさんある。
甘酸っぱい思い出、苦々しい思い出も、嬉しかったことや悲しかったこと。
積み重ねてきた全ての経験が、今の自分を作っています。
「あの頃に戻れたらいいのに」
ではなく
「あの頃はどんな考え方をしていたのだろう」
若かりし頃の複雑で面倒で、それでいて最高に純粋な感情を思い出したい方に
オススメの1冊です。
ぜひ一度手に取ってみてください。
※実写映画もありますので、映像から入るのもオススメです◎