こんにちは、みくろです。
今回は、多崎礼さんのファンタジー超大作第3巻、「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」をご紹介いたします。
(※少々ネタバレ含みますので、本書を0知識で読みたい方はご注意ください)
はじめに
今作は、レーエンデ国物語の第3巻。
前作、テッサの物語から、約120年後の世界を描いています。
1作目、2作目と紡がれた革命の灯火は、遥か時を超えてなお消えることはありませんでした。
それでは、早速感想を綴っていこうと思います。
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あらすじ
運命の幕が上がる。
たった一曲が世界を変えた。
灯火(はじまり)は、愛を知らない双子だった。ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。
天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。
彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。
(講談社より)
母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。
心に響いた言葉
「俺は天才劇作家だ。神から才能を賜った男、歴史に残る名作を書くために生まれた男だ。この使命を果たすまで俺は死なない。どんな凄腕の強盗も俺の才能は奪えない」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「芝居は虚構だ。あり得ないことが起きるから面白いんだ。良識ある大人が非常識な行動に出る。しがらみを振り捨てて唯一無二の愛を貫く。そういうところに観客は熱狂するんだ。良識ある大人が常識的に振る舞い、世間体を気にして唯一無二の愛を手放すなんて展開。誰も望んじゃいねぇよ。そんな手垢だらけのホン、野良イヌだって喰わねぇよ」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「読むまでもねぇ。俺が書いたんだ。傑作に決まってる」
講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より
「真実を知るということは責任を負うということだ。自分の命を預け、仲間達の命を預かるということだ」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「芸術に貴賤はない。貧富の差も民族の壁も飛び越えて誰の心にも等しく響く。魂が打ち震える感動に抗える者はいない。つまりレーエンデ人にもイジョルニ人にも響く戯曲があれば、このクソったれな世界は変えられるってことだ」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「芝居ってのは演者と観客の双方がいて、初めて成り立つモンなんだ。叩かれても蹴散らされても、観客が求める限り芝居は死なねぇ。演者を替え、演出を変え、永遠に生き続ける。一度観たら忘れられねぇ、もう一度観たくてたまらねぇ、レーエンデ人だけでなくイジョルニ人さえも夢中にさせる。俺が書くのはそういう戯曲だ。永遠に語り継がれる不朽の大傑作だ」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「お前は俺と違って優しい。困ってる人間を放ってはおけねぇ。だからお前は自然と皆に好かれる。人との絆は命綱だ。多けりゃ多いほどいい」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
割れてしまった鏡は元には戻らない。ひび割れてしまった心も戻らない。胸に刻まれた痛みも、怒りも悲しみも忘れられない。
それでも、もう一度、やり直すことは可能だろうか?
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「才能ってのは呪いだよ。人並みの幸せじゃ満たされない。十を得れば百ほしくなり、百を得れば千ほしくなる。高く、もっと高く、どこまでも昇り続けて、満足するということを知らない。でもあんたは凡人だから、とても優れた凡人だから、リーアンには決して手に入らない人並みの幸せを掴むことが出来る」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
「評価が低くたってかまわねぇ。『月と太陽』が上演されて、それを大勢の人間が観るってことに意義があるんだ。レーエンデ人は下級市民、上級市民であるイジョル二人に使役されるべき存在だ。そう思ってる連中の頭にガツンと疑問を打ち込んで、違う価値観を根付かせる。結果『こんな社会は間違っている』と言い出す人間が増えれば、世界はもっとましな方向へと変わっていく」
講談社「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」より
感想
「革命の灯火は、生きていた」
今作の舞台は、第2巻「月と太陽」の主人公テッサの時代から約120年後。
主人公は、双子の兄弟。
- 劇作家の兄、リーアン・ランベール
- 俳優の弟、アーロウ・ランベール
端的に言えば、この兄弟はとても仲が悪い。
兄は天才劇作家と呼ばれ、弟は劇団のいち俳優に過ぎない。
双子特有の似た容姿であるがゆえに、この世間からの評価の差は大きな溝となりうるのかもしれない。
(※この先、試し読みの先をほんの少しだけ感想書きます)
しかし、とあるきっかけから、アーロウはリーアンが秘密裏に何かを探っていることを知る。
それは、帝国に隠された英雄・テッサの情報だった。
「テッサとは何者なのか」
帝国がひた隠しにしてきたテッサの真実を知る為、リーアンとアーロウの2人は旅に出る。
旅先で出会う人々、思い出す過去、衝突と和解…
数々の予想だにしない出来事が、2人に変化をもたらし、予想を遥かに超える結末へ導く。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
著者である多崎礼先生は、Xにてこう仰っていました。
「2巻の絶望を知らなければ3巻は成り立たない」
まさにその言葉通り、3巻の本質は掴む為には、2巻の物語が必須でした。
- リーアンはなぜテッサを追い求めるのか?
- 旅の果てにテッサの真実を掴めるのか?
- リーアンとアーロウの戯曲は完成するのか?
「喝采か沈黙か」というタイトルに込められた真意に気付いた時、衝撃と感動に涙することを保証します。
この先は本書でお楽しみください。
2人が織りなす新たな革命の物語に、レーエンデの未来を期待せずにはいられない。
お読みいただきありがとうございました。
さぁ…
「革命の話をしよう」
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