こんにちは、みくろです。
今回は、聴く読書Amazonオーディブルの為に書き下ろされた、三浦しをんさんの「墨のゆらめき」をご紹介いたします。
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あらすじ
都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。
(新潮社より)
心に響いた言葉
“書家が全身と全神経を駆使し、ついには自身の存在さえ消し去るほど集中したその時、世界が反転して眼前の文字に書家の姿、書家の思いや魂も含めた森羅万象が映し出される。”
新潮社「墨のゆらめき」より
“千年以上も前の人々の息吹や目にした風景や感じた気持ちが、書家が紙の上に具現化した文字に宿り、それを見る者に伝わってくる。筆を使って、宇宙の全てを紙に封印し、それらを紙の上で活き活きと躍動させることができる。たぶん、書とはそういうものなのだろう、と遠田と遠田が生み出しつつある墨の流れを目の当たりにして、俺は思ったのだった。”
新潮社「墨のゆらめき」より
「べつに、はぐれもんだったり、罪を犯したりしたからって、書をやっちゃいかんということはなかろう。書は、書いたものの心を映す鏡だ。自分に向き合うためにも、おまえにはぴったりだと思うがな」
新潮社「墨のゆらめき」より
感想
【オーディオファースト作品】
聞きなじみのない言葉に、なんのことやら?と僕は首を傾げた。
調べてみると、
「Audibleと出版社による、メディアの枠を超えた新しい取り組みで、オーディオブックとして音声で配信した後、書籍として出版される作品」
なのだそうだ。
…実におもしろい。
Audibleが小説の世界を完成させる
正直に言います。
「Audibleだからこそ味わえる空気感がたまらない」
まず度肝を抜かれたのは、ナレーターを櫻井孝宏さんがやっていること。
そう。鬼滅の刃の富岡義勇、呪術廻戦の夏油傑等を演じる超有名声優だ。
くすっと笑えるシーンから、生唾を飲むようなシリアスなシーンまで、彼が表情豊かに語り抜く。
見えるはずのない、白い半紙に記された墨の重厚な輝きが目に浮かぶ体験は、唯一無二としか言いようがない。
三浦しをんさんの軽快なストーリーを、櫻井孝宏さんがブーストして2倍にも3倍にも魅力ある作品に仕上がっている。
「まほろ駅前シリーズ」が好きな方は、間違いなくハマることだろう。
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記事の序盤で話した通り、これは「オーディオブックとして音声で配信した後、書籍として出版される作品」。
あくまで僕の推測だが、「オーディオブックで人気が出なければ、書籍化はない」という意味でもあったのかなと。
もしそうであれば、実際に書籍化された実力を持ち合わせた作品であるということだ。
(※もちろん、最初から書籍出版が決まっている可能性の方が高いと思います)
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Audibleで耳から聴く物語と、書籍で目から見る物語。
きっと印象は大きく異なることだろうし、その異なりはまた新たな発見とわくわくを与えてくれるに違いない。
読後、「書店に足を運ばねば」、と心が弾んだ良き読書時間となった。
お読みいただきありがとうございました^^
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