あらすじ
解雇。それは張り紙一枚の出来事だった。ある日突然、僕らは年収200万円の生活からも見捨てられた。どうしよう。どこに行って、何をする?―歩く。それが、僕らの決断だ。クビを切られたカメラ会社がある山形から、東京へ。600キロ。4人で始まった行進は、ネットを通じて拡散し、メディアを賑わし、遂には政府が動き出す。僕らの青春を等身大に描いた、傑作ロードノベル。
(「BOOK」データベースより)
印象に残った言葉
『……国の形は、道にある。おれは世界中を歩いて旅して、それがわかった。日本の形は、日本の道にある』
『みんな、頭でばかり考えすぎるんだ。もっと足に考えさせればいい』
『わたしにはむずかしいことはわからない。でも、過去になにがあったにしても、人間て、未来になにをするかで決まるんじゃない。もういいから、みんなでバーベキューしようよ』
旅をすれば、人は変わる。
感想
突然の解雇を告げられた4人が、山形から東京まで歩いて帰るという、
ロードムービーならぬロードノベル。
歩く。
歩く。
歩く。
ただひたすらに歩く。
「1日だけ」といって始まった4人の足跡は、
いつのまにかたくさんの人たちや国を巻き込むムーブメントになっていきます。
正直、現実的かどうかで言えば、素直に頷くことはできません。
ただ、「歩く」ということにここまでフォーカスをする小説は初めてでした。
前回書かせて頂いた「夜のピクニック / 恩田陸」も
偶然「歩く」がテーマでしたが、どちらかといえば「歩くというイベント」に
フォーカスされたものかなぁといったイメージです。
印象に残った言葉に引用させて頂いた
『みんな、頭でばかり考えすぎるんだ。もっと足に考えさせればいい』
といった言葉は、まさにその通りだなぁと感心しました。
人生において、思い悩むことや壁にぶつかることはたくさんあります。
それは誰しもが同じ。
そんな時、とにかく動いてみること。
汗を流してみること。
すると、不思議なことに気分が晴れるだけでなく
解決への道筋がすっと見えてくるんです。
私の場合は、サッカーしたり写真撮影に出かけたりですね(笑)
「突然の解雇で仕事もなくなった。
じゃあ試しに歩いてみようか」
そんな突飛な考えを実行に移し、自分たちの未来をその足で切り開いていく
4人の物語。
コロナ渦で大変な今、まさに感じられることが多くある作品を
ぜひオススメさせて頂きます。