【世界を変えるのは神じゃない。人間だ】レーエンデ国物語 月と太陽 / 多崎礼【あらすじ・書評】

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読書記録
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こんにちは、みくろです。

今回は、多崎礼さんのファンタジー超大作第2巻、「レーエンデ国物語 月と太陽」をご紹介いたします。

(※少々ネタバレ含みますので、本書を0知識で読みたい方はご注意ください)

この記事はこんな方にオススメ
  • 信念に生きる人間の生き様に勇気をもらいたい
  • 心震わす自由と革命の物語に出会いたい
  • 第1巻の続きが気になって仕方ない、レーエンデ国物語ファン

はじめに

今作は、レーエンデ物語の第2巻。

前作、ユリアとヘクトル、そしてトリスタンの物語から、100年後の世界を描いています。

3人が紡ぎ始めた物語は、時を超えて新たな人々が紡ぎ続ける。一味も二味も雰囲気を変えて。

それでは、早速感想を綴っていこうと思います。

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あらすじ

名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。
そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。
藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、
ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。
しかし、その生活は長く続かなかった。村の危機を救うため、テッサは戦場に出ることを決める。
ルチアーノと結婚の約束を残して――。

封鎖された古代樹の森、孤島城に住む法皇、変わりゆく世界。
あの日の決断が国の運命を変えたことを、二人はまだ知らない。

(講談社より)

心に響いた言葉

「人って言葉でものを考えるから、知っている言葉が増えれば、それだけ考え方も豊かになるの。考え方が豊かになれば視野が広がって、それまで見過ごしてきたことにも気づけるようになる。何が正しくて何が間違っているのか、自分の頭で考えることが出来るようになる。あたしが子供達に読み書きを教えるのは、知識が人を作り、見識が世界を変えるって信じているから。教育の力はどんな武器より強いって信じているからなの」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「良くも悪くも人は変わっていくものよ。変化することを恐れていては成長は望めない。彼らの人生は彼らのもの。どんな道を選ぶか、どのように生きるか、彼ら自身が決めるべきだわ」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「誰がなんて言おうと僕は好きな人には好きだって言う。たとえ牢屋に繋がれても、はるか遠くに引き離されても、僕の気持ちは変わらない。法皇も法皇庁も、たとえ神様だって僕の心を支配することは出来ない」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「好きな人とともに生きたいと願うことが間違いであるはずがない。僕はイジョルニ人だけどテッサのことが大好きだ。この気持ちは誰にも止められない。誰にも否定なんかさせない。テッサも言ってたよね。時代が変われば状況も変わるって。僕もそう思う。時代が僕らの生き方を否定するなら、この時代を変えればいい。世界が僕らの自由を妨げるなら、この世界を変えればいい。その第一歩として僕は僕自身を変える。身体も心もうんと鍛えて、アレーテやテッサを支えられるようになる。誰にも負けない立派な男になって、テッサの心を掴んでみせる」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「お前が心から願えば出来ないことなど何もない。だからテッサ、よく考えろ。人の命はひとつだけ、人生は一度きりだ。帝国軍の民兵として野垂れ死ぬまで戦うか、レーエンデの英雄として戦い抜いて死ぬか。選べるのは一方だけだ」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「どんなに強い人間にもね、休息は必要だよ」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「あたし達は瀬戸際にいる。光と闇の境界線にいる。見て見ぬふりをしているうちに、闇はもうすぐそこまで来てしまった。今、行動を起こさなかったら、この世界は闇に飲まれる。レーエンデ人の未来はなくなる。多くの命が奪われ、尊厳は踏み躙られる。夢も希望も、ささやかな幸せも、レーエンデを愛してると叫ぶ自由も、戦わなくちゃ守れない。だから力を貸して。レーエンデの未来を守るために、レーエンデに自由を取り戻すために、あたしと一緒に戦って!」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「一握りの黒麦が豊かな実りをもたらすように、氷柱から落ちる雫も集まれば大河となる。川は山を崩し、谷を削り、風景さえも変えてみせる。人間もそれと同じ。あたし達一人一人が力を合わせれば、出来ないことは何もない。聖イジョルニ帝国を倒すことも、人間としての尊厳を取り戻すことも、レーエンデに自分達の国を創ることだって、決して不可能じゃない」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「ここから始めよう。あたし達が始めよう」

「レーエンデに自由を取り戻そう、帝国支配を終わらせ、新しい時代を開こう。奪われた自由を、レーエンデの未来を、あたし達の手で取り返そう」

「レーエンデに自由を!」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「正しい道を選んだつもりでも、よくない結果を生むことだってあるだろうし、私みたいに後悔してても、結果としてはよかったって場合もある。どっちに転ぶかわからないなら、自分がしたいようにすればいいと思う。しなかったことを後悔するよりも、してしまったことを後悔するほうがいいって、私は思うから」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「世界を変えるのは神じゃない。人間だ」

「見せてあげるよ、あんたにも。あんたが手放してしまった『希望』ってやつをさ!」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

感想

【革命の灯火は、消えることはない】

正直に言います。

「読むのに覚悟がいる物語でした」

今作の特徴は、“戦いの描写が多く、臨場感と人々の感情が痛いほどに伝わってくること”ですね。

正直、私は血が出るような映画は勿論、小説もあまり得意ではないので、その場面だけは少々大まかに読ませていただきました。

しかし、そんな私でもページをめくる手が止まらなかったのは、続きが気になって仕方がなくなるほど魅力ある物語だという証拠でもあります。

それでは、今回も登場人物が多いので、さくっと重要人物をまとめてみます。

ーーー

  • ルチアーノ・ダンブロシオ・ヴァレッティ ➡ ヴァレッティ家の次男。ルーチェと名を偽って、テッサと共に生活する。
  • テッサ・ダール ➡ ダール村の少女。怪力の天恵を持つ。
  • キリル ➡ ティコ族の立派な体格の若者。テッサの幼馴染。
  • イザーク ➡ ウル族の見目麗しい青年。古代樹林の集落からダール村へやってきた。
  • ギヨム・シモン ➡ 帝国軍第二師団第二大隊第九中隊の中隊長。テッサ達の上官となる。
  • エドアルド・ダンブロシオ・ヴァレッティ ➡ ヴァレッティ家の長男。聖都で法皇に仕える。

試し読みまとめ(★お時間ない方オススメ)

お時間ない方用に、試し読み部分のあらすじをまとめるとこんな感じです。

試し読み まとめ

ルチアーノは何者かに屋敷を襲われ、自分以外の家族を全員殺されてしまう。その犯人である男から、「今夜のことは誰にも言うな。身分も名前も記憶も捨てろ」とただ一人逃げることを許される。

➡逃げる途中で気を失っているところをテッサに救われる。しかし、テッサは協会(ルチアーノたち貴族)のことをよく思っておらず、ルチアーノは自分を屋敷の使用人の息子「ルーチェ」と名乗り、彼女たちと生きていくこととなる。

➡月日が流れたある日、大規模な落盤事故が起こった結果、テッサの住むダール村は帝国に納める税金が不足することとなる。結果、兵役に追加で3人出すことで税金の納期を1か月待ってもらうこととなる。そこにテッサ、テッサと仲のいいキリルとイザークの3人が志願し、兵役に向かう。ルチアーノはテッサに想いを伝え、結婚の約束をして彼女たちを見送った。

…覚えておいてください。ここからなんですよ。本当の物語が始まるのは

この兵役に向かった後、怒涛の展開に感情が追い付きません。

ほんの少しだけ試し読みの先をお話しますので、見たくない方は回れ右で。

試し読み+α

試し読み+α まとめ

兵役に向かった3人は、訓練期間に入った。しかし、期間を終える前に3人の配属が決まる。それは「第九部隊」と呼ばれる最前線で戦う部隊。いわゆる戦死率が高い部隊だ。どんなところかと戦々恐々としながら向かったテッサ達だが、そこで出会った中隊長シモンはとても人間味に溢れた素晴らしい男だった。3人は彼のもとで多くのことを学び、到底無理だと思われた戦をも乗り越え、兵士としても人としても成長していく。

このシモンという男が、とんでもない男前。

最前線で戦うということは、それだけ人を殺しているということであり、同時にそれだけ仲間を失っているということ。

人の命への価値観が薄れていても、なんらおかしくないのです。

しかし、そんな彼から放たれた意外すぎる言葉の数々に、私は度肝を抜かれました。

「たったひとつの大事な命、油断して泥ン中に落っことすなよ!」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「テッサ、迷い続けろ。疑い続けろ。これは正しいことなのか、何のために戦っているのか、自分の頭で考え続けろ」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

「勘違いするな!俺達が戦に命を懸けるのはそれが仕事だからだ!生まれた瞬間から最後の息を引き取るまで、俺達の人生は俺達のものだ。命も矜持も魂も、すべて俺達自身のものだ!」

講談社「レーエンデ国物語 月と太陽」より

仲間の命を誰よりも尊び、守り、絶対に失わぬよう戦い続ける。

彼の大きすぎる背中、そして生き様に心を奪われること間違いなしです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

600ページを超える長編でしたが、読み始めたらあっという間。

時間の概念を覆されるほどの没入感に浸ることのできる作品でした。

ーーー

  • テッサ達はシモンに何を学び、戦いに何を見出すのか?
  • テッサとルチアーノの結婚は叶うのか?
  • ルチアーノの家族を殺した犯人、そしてルチアーノを逃した目的は?
  • タイトルの示す”月と太陽”とは?

続きは本書にてお楽しみください。

お読みいただきありがとうございました。

さぁ…

「革命の話をしよう」

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