【愛は本来、すこぶる自由なものよ】木曜日にはココアを / 青山美智子【あらすじ・書評】

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読書記録
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こんにちは、みくろです。

今回は、青山美智子さんの代表作、「木曜日にはココアを」をご紹介いたします。

この記事はこんな方にオススメ
  • 人生はうまくいかないことばかりだ”と落ち込んでいる人
  • 人と人が繋がっていく優しい奇跡”を見てみたい人
  • ココアが好きな人

はじめに

【陽だまりのような小説】

温かいココアを飲むと、ほっと心が安らぐ。

そんな経験をしたことがないだろうか?

この作品は、「ココアさん」という登場人物から始まる連作短編集。

色をテーマにした12の短編が、次々と繋がっていくのだが、その全てのストーリーの温かさに心がほどけていく。

その感覚は、まさに温かいココアを飲んだ時のようなのだ。

それでは、早速感想を綴っていこうと思います。

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あらすじ


僕が働く喫茶店には、不思議な常連さんがいる。必ず木曜日に来て、同じ席でココアを頼み、エアメールを書く。僕は、その女性を「ココアさん」と呼んでいる。ある木曜日、いつものようにやって来たココアさんは、しかし手紙を書かずに俯いている。心配に思っていると、ココアさんは、ぽろりと涙をこぼしたのだった。主夫の旦那の代わりに初めて息子のお弁当を作ることになったキャリアウーマン。厳しいお局先生のいる幼稚園で働く新米先生。誰にも認められなくても、自分の好きな絵を描き続ける女の子。銀行を辞めて、サンドイッチ屋をシドニーに開業した男性。人知れず頑張っている人たちを応援する、一杯のココアから始まる温かい12色の物語。

(「BOOK」データベースより)

心に響いた言葉

「夢はかなったところから現実だから。俺、夢が好きなの。だからもういいんだ」

宝島社「木曜日にはココアを」より

僕は知った。この小さな世界でも、奇跡はちゃんと起こる。初めて触れたやわらかな手。僕だけに向けられた楽しそうな笑顔。

宝島社「木曜日にはココアを」より

「…私、なるべくまっすぐな道を選ぼうとしてきたし、人にもそれを望んでたけど…どこか間違ってるのかしら」

「うーん…。道がまっすぐかどうかというよりも、曲がりくねった道をがんばってまっすぐ歩こうとしてるならいいんじゃないかなって、僕は思います」

宝島社「木曜日にはココアを」より

「相手の身になるって、難しいわね…」

「そうですね。でも、もし間違ってても、相手を想ってるってことだけは伝わるかもしれません。それに、その人がどう考えてるのかなって想像するだけで楽しかったりもするし」

宝島社「木曜日にはココアを」より

「子どもってね、手ごわいよ」

理沙がショーツを持ったまま私に顔を向ける。私は続けた。

「手ごわくて、かわいくて、おもしろくて、かよわくて、たくましくて、手も目も離せないのに、そうかと思うと知らないところで勝手に育ってて、こっちが想像してるよりずっとしっかり物事わかってたりして、ほんと、あいつら怪物」

宝島社「木曜日にはココアを」より

「そうね。とても難しいことでもあるし、とても簡単なことでもある。愛そうと決めて愛するのではないからね。愛は本来、すこぶる自由なものよ」

宝島社「木曜日にはココアを」より

赤い糸。それは、小指と小指をつなぐたよりない一本のことではなく、互いの体の中をかけめぐる血のことなんじゃないだろうか。あらかじめ結ばれた線を手繰り寄せるのではなく、いろんな出来事を重ねながら、それぞれの中で脈々と流れるたくさんの赤い糸を共鳴し合っていく。そんなスペシャルな相手を、人はみな探し続けているのかもしれない。

宝島社「木曜日にはココアを」より

「私は思うんだけれど、正しい謙虚さというのは正しい自信だし、本当のやさしさは本当のたくましさじゃないかしら。

宝島社「木曜日にはココアを」より

「不遇の時代が長かったけど、ここにきて急展開だね」とマークは言った。でもそれは少し違うかもしれない。不遇だったのではなく、わたしが翻訳家になるためには、これだけの時間と経験がどうしても必要だったのだ。

宝島社「木曜日にはココアを」より

死ぬことにおびえるのと、生きることにおびえるのは同じだ。

宝島社「木曜日にはココアを」より

私たちは1秒先のことも知らされないまま暮らしている。自分の意志だけではどうしょうもない、抗えないことも向こうから訪れる。そんなときに果てなくふくらんでいく不安は、私たちに恐ろしいシナリオを書かせる。自分で作ったストーリーなのに、まるで誰かに与えられた未来のように、そしてそれがもう決まってしまったかのように、私たちは脅かされる。

でも本当は、そんなものはどこにも実在しないのだ。今ここに、たしかにあるのは、呼吸をしている私、笑っているマコ、咲いているサクラ。

宝島社「木曜日にはココアを」より

「いつもの場所です。好きなところにいるだけで、元気になることもあると思います」

宝島社「木曜日にはココアを」より

感想

人生において、悩みはつきものだ。

それをどう捉えるかが唯一の違いであり、悩みの全くない人なんて誰一人存在しない。

そんな誰しもが向き合う感情に対して、そっと手を差し伸べてくれるのが本作、「木曜日にはココアを」である。

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早速だが、この記事を読んでくださっている読者の皆さんにひとつ聞いてみたい。

「なぜこの本を手に取ったのですか?」

…どうだろう?

様々な理由があると思うが、僕の場合は、「タイトルに惹かれたから」の一択だった。

正直、同じ理由の方は多い気がする。

「木曜日とココアにどんな関係が?」

「木曜日以外には他の飲み物が?」

なんてね。

なぜそのタイトルだったのかは、あらすじを見れば一目瞭然。

ただ、そこからこれほどまでに心が温かくなる物語が続くなんて、誰が想像できただろう。

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本作で特に印象に残った一節を紹介しよう。

好きな場所で、好きな景色を、好きな人と見て、好きなことを話す。

私は今まで、そんな大切な願いに対して、どこか臆していたような気がします。

でも、思ったときに進まなければずっと止まったままで、それどころか、その願いは果たせないうち気持ちごと消えていってしまうかもしれない。

宝島社「木曜日にはココアを」より

YOLO (You Only Live Once) = 人生は一度きり

様々な事情で、やりたいことを我慢したり、見て見ぬふりをしたりすることがある。

ただ、そのやりたい」という心がくすぶったまま、人生が終わってしまったら?

「明日が来ることは奇跡」だということを、誰しもが意識していないのだ。当たり前は当たり前じゃない。

なんでも叶えられるわけではないけれど、叶える為に挑戦することだけは忘れずにいたい。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「人生山あり谷あり」

良いこともあれば、良くないこともあるというのは世の常です。

良いことは純粋に楽しみ、良くないことは教訓や人生のスパイスとして味わう。

そうすることで、良くないこともいつか笑える日が来るのだと僕は信じています。

人生に迷った時、ぜひ本書をお手に取ってみてはいかがでしょうか?

きっと心が軽く、温かくなることでしょう。

お読みいただきありがとうございました^^

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