【人生は何度でもある】 赤と青とエスキース / 青山美智子 【あらすじ・書評】

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読書記録
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こんにちは、みくろです。

「エスキース」をご存じでしょうか?

簡単に言いますと、建物やインテリアの設計、または絵画等のデザインをまとめる為の「下絵」のことです。

今回紹介する作品は、この「エスキース」が紡ぎ出す、愛に溢れた物語です。

この記事はこんな方にオススメ
  • 伏線のあるストーリーが好き
  • 人生や人間関係を前向きに捉えたい
  • 愛すること、生きていくことの素晴らしさを知りたい

あらすじ

メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画」。日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく。一枚の「絵画」をめぐる、五つの「愛」の物語。彼らの想いが繋がる時、驚くべき真実が現れる!仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

「BOOK」データベースより

心に響いた言葉

なんだってそうだ。スタートさせるのは思いのほか容易なことで、おしまいはいつも、あっけない。難しいのは、続けること。どこが最終地点なのかわからないまま、変わりながら、だけど変わらないで、ただ続けること。

「お友達に伝えて。どこにいても何をしていても、いつの世でも、人のやることは同じよ。食べて眠って起きて、好きになったり嫌いになったりするのよ」

「こういう人がいいっていうんじゃなくて、この人がいいって思えたら、それが完璧な組み合わせだと思いますよ。人ってみんな、ひとりしかいないんだから」

「私もいろいろとしんどいときがあったから。普通のことよ。こんな世の中でまっとうに生きようとしたら、誰だっておかしくなっても不思議じゃないのよ」

「競技の中でもそうだし…きっと、それ以外でもなんでもそうなんだろうけどさ。大事なことって、意外と言葉にできないことが多いから。無理に言葉にしなくていいんだよ」

「もちろん思いっきり生きてるわよ。でも私はね、人生は何度でもあるって、そう思うの。どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。そっちの考え方の方が好き」

「ただ、人生は何度でもあるけど、それを経験できるこの体はひとつしかないのよね。だから、なるべく長持ちさせなきゃ」

感想

初の青山美智子さん作品。

2022年本屋大賞第2位とのことで、とても話題になっていましたので手に取ってみました。

いやぁ…素晴らしかったです。

私は短編集というものをあまり読まないのですが、これは短編集であり短編集でない。

軽快に読み進めることができ、且つどっぷりと各物語に没入できるという新感覚の作品でした。

なぜそれが実現できたのか、という部分はネタバレになってしまうのでここでは控えておきます。

“人生とは長い旅である”

そう表現されることをよく目にしますが、本作を通してまさにそれを体感しました。

人との出会いと別れは全て偶然や奇跡なのですが、それは時に運命とも呼ばれるのだなぁ、と。

長い長い旅路の果てに、「この人と出会えて良かった」と心から思える人は何人いるのだろう?

ストーリー構成から伏線の張り方、鮮やかすぎる回収に愛着のわく登場人物。

青山さんという素晴らしい小説家を知らずに読書を重ねてきたことに悔しさを感じつつ、これから先の読書人生を豊かにしてくれるであろうこの度の出逢いに感謝の気持ちでいっぱいです。

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