あらすじ
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。
(「BOOK」データベースより)
印象に残った言葉
お盆は、一年に一度、死者がその家に帰ってくる日。つまり、会いたくても会えない大切な人とデートできる日でもあるのだ。
前を見て歩いてゆくこと。そして生きてゆくこと。
生きている人間は、ずっと泣き暮らしてはいられない。
『知識なんざ、あとからどうにでもなる。でも愛嬌と説得力は勉強して身につくもんじゃないからな』
ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。だとすると、いつか私だって自動的に歴史の一部となる。本には残らない名もなき人生だとは思うけど、食べることでお菓子を次の世代へ残していけたらいい。
感想
初の坂木司さん作品。
一時期とても話題に上がっていた作品ですね。
どういったものなのか手に取ってみたところ…間違いありませんでした。
作品のあらすじにもある通り、めちゃくちゃ和菓子屋さんに行きたくなります(笑)
これ冗談抜きに(笑)
物語を通して、和菓子の奥深さ…特に職人の込めた想いや遊び心、
そして日本語の美しさに心惹かれます。
和菓子も日本語も、とても繊細なものなんだなぁと再認識。
改めて日本人でよかったと思う瞬間を、文字から感じさせてくれます。
お客さんが現れる度、ミステリー要素もしっかりと描かれます。
【和菓子×ミステリー】
という初めてのジャンルの作品でしたが、
重さが全くない、和菓子だけに口当たりの良い爽やかな作品でした。
師走に差し掛かり、年末のご家族との団欒を
“和菓子“と”和菓子のアン“と迎えてみてはいかがでしょうか?