【僕らは光を浴びて光になってる】スターゲイザー / 佐原ひかり【あらすじ・書評】

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1:読書記録

こんにちは、みくろです。

今回は、佐原ひかり先生のアイドル小説「スターゲイザー」をご紹介いたします。

この記事はこんな方にオススメ
  • アイドルの推し活が楽しくて仕方ない人(ガチ層・ライト層問わず)
  • アイドルの輝きがこれほどまでに眩い理由を知りたい人
  • 一筋縄では届かない目標に向かって、もがきながらも全力疾走する若者たちの結末を見届けたい人

はじめに

“スターゲイザー = 星を見つめる者”

アイドルの眩い輝きは、自らの宝石を磨いて、磨いて、磨き上げてきた賜物。
才能も環境も年齢も違うアイドルの卵達が、輝く星になるべくして走り続ける姿から誰が目を離せようか。

さぁ、感想を綴って参りましょう。

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あらすじ

アイドル事務所「ユニバース」に所属するデビュー前の青年、通称「リトル」。
彼らはデビューに向けて、限られた時間の多くを費やしレッスンに励んでいた。
そんなある日、リトルたちが出演するイベント「サマーマジック」で最も活躍した一人を、デビュー間近のグループ「LAST OZ」に加えるという噂が流れだす。
この噂をきっかけに皆が熱を帯びていく中、リトルの一人である加地透は疑問を抱いていた。
“恋心も、学校生活も、自分の体も、全てを捧げなければデビューは叶わないのか?”

デビューに対して人一倍強い野心を抱いている持田、
わずか14歳にしてソロデビューを打診された遥歌、
誰よりもストイックで自分の見え方を計算し尽くした振る舞いをする葵、
芸能人一家の複雑な環境で育った問題児の蓮司、
デビューができる期限まで残り一年を切った若林、そして透。

デビューを目指すこと以外はすべてバラバラの6人が出会った時、
彼らの未来は大きく変わる――かもしれない。

集英社より

心に響いた言葉

「透さ、自分のこと、平凡な人間だと思ってるだろ。違うよ。要領って意味では、天才だよおまえ。一度見たら覚える、忘れない。どんな振りにも無茶にも忠実に確実に応える。しかも、それに甘えず、毎日走り込みして、かさず自主練して。努力を努力だとも思ってない。みんな、普通はデビューやステージングの楽しさをモチベーションに、苦しくても悔しくても耐えて堪えてどうにかやってんだ。でも、透は違うだろ。心も体も摩耗せずやっていけてる。タフさって、基本だけど、一番大事な才能だよ」

集英社「スターゲイザー」より

その人がどんな人間であろうと、普段どんな生活を送っていようと、アイドルの前ではただのファンだ。だからこそ、アイドルも、平等な質を、愛を、供するべきだ。大地さんや遥歌のような人間こそが、アイドルとして、ふさわしい

集英社「スターゲイザー」より

「ありがたい、と、うれしい、は別でいいと思うけど。応援してくれるのはありがたい。でもうれしいとは思わない。それはそれ、これはこれ、でいいんじゃないか」

「そう、なのかな?」

「うれしいってのは感情だろ。義務で感じられるものじゃない。金払って観に来てくれる以上、ありがたいって感謝はしとくべきだと思うけど」

集英社「スターゲイザー」より

「俺が言いたかったのは、薫の気持ちはどうなんだ、ってことだ。それで親父がダメになった場合、後悔しないのか?」

「するんじゃない?でもさあ、わたしももういい年だし、後悔をベースに考えて動いてたらあっちゅう間に死んじゃうよなあって。なにを失うかより、なにを得たいかで生きる方向に切り替えてみようかと」

集英社「スターゲイザー」より

「その金はな、若林さんがかけた時間と、努力と、才能の証明なんだよ!おまえみたいなの が持っていっていい金じゃない!」

集英社「スターゲイザー」より

あり得るのか?そんなことが。自分の才能に本人が気づいていない不幸が。

集英社「スターゲイザー」より

逃がさない。
俺が見つけたんだ。
許さない。
誰かに堕とされることも、自ら消えることも。
燃え落ち果つるまで、星は光れよ。

集英社「スターゲイザー」より

「好きなのに、才能がないのか。くやしいことね、それは」
ひどく淡々と、日下部さんがつぶやいた。
はい、と答える声が、かすれて震えた。
くやしい。
そうか、くやしいんだ、俺は。喜びより、くやしさが勝つんだ。
そんで、くやしいってことは、好きってことなんだ。
自分で思っていたより、口に出してきたより、ずっとずっと、俺は、アイドルが

集英社「スターゲイザー」より

「しがみつけるのも、才能のひとつよ」

集英社「スターゲイザー」より

感想

アイドルとは

「アイドルは輝くべくして輝く」

誰もが目を奪われ、心を奪われ、虜になる。
彼らの一挙手一投足が、声が、全ての時間と空間を掌握する。

そんなほとんど魔法に近い奇跡を現実にやってのけている存在。

それが「アイドル」です。

ただ、彼らのその輝きは一筋縄で生まれるほど甘くありません。

もちろん、生まれ持ったもの(一種の才能と呼んでもいいかもしれない)も少なからずありますが、結局は弛まぬ努力が磨き上げた宝石の輝きに他なりません。

ファンがそれを知る必要はないのですが、“彼らの光がなぜ心を震わせるのか”、その理由の一片を知ることでまた推しへの愛が深まることは間違いないでしょう。

アイドル=偶像

アイドルは英語でidle。偶像という意味です。
偶像とは、信仰や憧れ、崇拝の対象となるもの。
すぐに思い浮かぶのは、神様や仏様といったところでしょうか。

では、なぜアイドルはアイドルなのか。
本書にこんなセリフがあります。

わかる?つらいこと、苦しいこと、悩み、嫌いな自分、ままならないこと、ここでならぜんぶ忘れていいんだよ。忘れて、泣いて、笑って、叫んで、また明日から生きよう、がんばろうってほんの少しでもいいから思えるよう、僕らは光を浴びて光になってる。

集英社「スターゲイザー」より

これが答えではないでしょうか。

人は悲しい時や辛い時、何かに縋りたくなるもので、それは往々にして好きなものであることが多いように思えます。

アイドルは、そんな人たちの希望。
大好きな彼らの輝く姿を見ることで、

「明日も頑張ろう」
「次会える日まで頑張ろう」

ってたくさんのエネルギーをもらう。
それは、お寺や神社に参拝して、

「お参りしたからきっと大丈夫だ」

なんて、神様の力を借りて自分を落ち着かせることに近しいのかもしれません。
そう考えれば、ステージで輝く彼らをアイドル(偶像)と呼ぶのも頷けます。

まとめ

いかがでしたか?

本書は、大きなステージに立つことを目指す、小さな光たちの物語

テレビやラジオのようなメディアに出ることは、分かりやすいアイドルの成功の形かもしれません。

ただ、「何を持ってアイドルと呼ぶのか」と考えた時、それは「ファンに希望を与える存在」なのではないかと。

メディアへの露出は、光が当たりやすいかどうか(=周りから見つけやすいかどうか)の違い。

たとえどんな見つけにくい場所にいたとしても、彼らが日々磨き上げているその宝石は、いつか必ず誰かの目に届く輝きを放つことでしょう

そういった過程を見届けることも、「推し活の醍醐味」ですよね。

ご一読いただきありがとうございました^^

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