こんにちは、みくろです。
今回は、プロサッカー選手、宮市亮の「それでも前を向く」をご紹介いたします。
はじめに
“日本屈指のスピードスター”
横浜・F・マリノスに所属する宮市選手は、その圧倒的なスピードを武器に世界の大舞台で戦ってきました。
彼がボールを持ち、ドリブル、フェイント、加速する。
次の瞬間、相手はもう彼の背中しか見えないのです。
多くのサッカーファンが記憶に残っているであろう、彼の衝撃のプレーがこちら。
とんでもないですよね。
しかも対戦相手は、世界屈指の名門クラブ「チェルシー」。
超人クラスの身体能力とスキルを兼ね備えた選手が勢揃いしており、簡単に抜きされるわけがありません。
全世界のサッカーファンが、この試合で「宮市亮」という名前を記憶に刻んだことは間違いないでしょう。
しかし、そんな彼を悩ませたのは、「怪我」。
何度となく襲い掛かる試練に、彼がどう立ち向かい、乗り越えてきたのか。
その苦難と葛藤、挑戦の記録が本書に詰まっています。
さぁ、感想を綴って参りましょう。
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あらすじ
高校卒業を待たずに18歳で、サッカーの本場・欧州のビッグクラブ「アーセナルFC」に加入し、将来を嘱望された宮市亮。
しかし、その後の歩みは苦難の連続だった。
・2013年3月、右足首の前距腓靭帯損傷
・2014年4月、右太もも裏(ハムストリング)の筋断裂
・2015年7月、左膝の前十字靭帯断裂
・2017年6月、右膝の前十字靭帯断裂(1回目)
・2022年7月、右膝の前十字靭帯断裂(2回目)
5度もの大ケガを経験してなお、なぜ前を向き続けられたのか──。
その力の源泉に迫る、初の自著。
繰り返される大ケガ、長く苦しいリハビリ、期待に応えられない後ろめたさ……。
思いどおりにならない現実と闘い続け、見つけた答えが、ここにある。
朝日新聞出版より
心に響いた言葉
執刀医はあの「ACL」Tシャツのドクター。あとでわかったことだが、ドイツで3本の指に入る膝の権威だった。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
手術前、そのドクターが笑顔で「大丈夫、大丈夫だから」と何度も念押ししてくれた。
最後に自信満々にこう言ってくれた。
「おまえの膝に、ちゃんとフェラーリを入れておくからな」
最上級の膝にしておくぞという意味だった。「ドイツなのに何でフェラーリなんだろう?」と冷静になった今なら疑問もわいてくるが、その時はとにかく心強く感じた。
地道にケガせずコツコツ積み重ねることが、いかに大切かー。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
「無事これ名馬」とはよく言ったもので、ケガなく何シーズンもやり切る、それができることが本当にすごい選手で、称賛されるべき選手だと思う。
もちろん、悔しさはあった。それまでは、活躍している選手を見ると、「どうして俺だけ・・・・・・」と卑屈になることのほうが多かった。でもその時は、「他人とくらべたところで、置かれた状況は変わらない」と思えた。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
そして、「コントロールできるのは自分自身のプレーや振る舞いだけ。やるべきことに集中しよう」と考えられるようになった。
「サッカー選手の日々」。おかしな表現だが、ずっと求めていた試合に出続ける日常のことだ。これが本当に楽しかった。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
結果とは、地道な積み重ねでつかみ取るもので、この方法でしか結果は出ないー。そんな大きな学びを得たシーズンだった。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
そして僕は、「結果は出すものではなく、ついてくるものだ」と知った。
「トリコロールの宮市亮再びピッチで輝け待ってるぞ」
サポーターたちによる、僕のチャント(応援歌)の大合唱が始まった。その大声援につつまれた瞬間に、僕の心は決まった。
「絶対に戻らなきゃいけない」 「もう一回みんなの前でピッチに立ちたい」
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
試合後、チームはベンチ前でわざわざ円陣を組んで、僕を迎え入れてくれ、激励してくれた。この時、サポーターに直接、復帰する決意を固めた報告をできればよかったと、今になって思う。感謝の気持ちを伝えるべきだった。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
横断幕を持ってくれた選手たちと大勢のサポーターたちの前で撮った一枚の写真が、復帰への約束手形になった。
ケガをしてよかったなんて簡単には言えない。ただ、これだけは言える。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
「人生に無駄なことはない」
ありきたりの言葉かもしれない。でも、本当にその通りだと思う。
「ただし、無駄にするかどうかは自分次第」
これも、何度も苦しい状況を経験して、まわりのたくさんの人たちに支えてもらったおかげで、学べたことかもしれない。
この考え方が正解なのかどうか、それはわからない。でも今は、そう考えられている自分が好きだ。
きっと、人生に苦境はつきものだ。そして、苦境を乗り越えるためには、前向きになって挑むしかない。
誰でも、簡単に前向きになることはたぶんできない。僕もケガをするたびに試合に出られなくなり、毎回落ち込んで、時には自暴自棄にもなった。
ただ今では、そういう時間も必要だったんだと思う。
起きたことを受け入れて、落ち込む時は落ち込めばいい。前向きになれなくてもいい。
どれだけ時間がかかってもいい。力が戻ってくるのを待つーーー。
完全に絶望し、心を閉ざしさえしなければ、きっと誰かが力になってくれる。背中を押してくれる。
どんな小さなきっかけでもいい。ほんのちょっと前を向けた時、ゆっくりと再び歩きだ
せばいい。
感想
3度の前十字靭帯断裂
「前十字靭帯断裂」というのは、スポーツをあまり知らない方でもニュースで聞いたことがあるかもしれません。
スポーツ選手に起こりうる怪我の一つですが、この怪我が原因で引退を決断した選手も多くいます。
そんな大怪我を、宮市選手はプロキャリアの中で3度したにもかかわらず、今もなおピッチに立ち続けています。
これがどういう意味かわかりますか?
引退を決意させるような大怪我ということは、想像を絶するようなリハビリが待っているということなんです。
それを3度も乗り越えた事実は、彼の精神力と強いサッカー愛が成せる奇跡に他なりません。
メンタリティ→レジエリエンス
本書内で彼はこんな言葉を綴っています。
一度は、本気でサッカーをやめようと思った。
朝日新聞出版「それでも前を向く」より
「歴史に残るような人物は、メンタリティも常人離れしている」
そんなことをよく聞きます。
宮市選手もその一人かもしれません。
しかし、これほどの試練が立ちはだかった時の心情は、決して常人離れしているわけではありませんでした。
「彼ほどの選手であっても、ちゃんと辛かった」
誤解を恐れずに言えば、そう思えたことでどこか気持ちが救われたような気もします。
「誰しも辛い時は、辛い。あとは、そこからどう立ち上がるかだけ」
彼の本当の武器は折れないメンタリティ…いや、レジリエンス(=立ち上がる力)なのかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
彼のアーセナル入団が決まった時、同世代でサッカーに情熱を注いでいた私は、あまりの衝撃に開いた口がふさがりませんでした。
「彼が日本のサッカー界を牽引していくのだろうな」と、一人のサッカー好きとして信じて疑いませんでしたから。
その後、何年にもわたって彼の苦難と挑戦をニュースで観る度に、「どうして…」と悔しさにも似た感情を抱いたことも事実です。
ただ、彼は何度怪我に苦しめられても、その度に何度でも立ち上がりピッチに戻ってくる。
それは不死鳥のような美しさであり、戦傷を刻んだ侍のような静かな気迫でもあり。
「がんばれ」
「負けるな」
献身的なプレースタイルやインタビューからあふれ出す彼の温かな人柄は、多くの人が彼を応援したくなる大きな理由でしょう。
誰が何と言おうと、彼は日本サッカー界の至宝です。
宮市選手の過去と現在が綴られ、未来への期待を抱かざるを得ない本書。
世のサッカーファンの皆様はもちろん、全ての頑張っている人たちには必ず響くものがあるはずです。
ぜひお手に取って、その目に見えない宝物を手に入れてください。
ご一読いただきありがとうございました^^
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